コープこうべの挑戦PROJECT STORY 01

先端技術×地域

テクノロジーで地域を支える
私たちの挑戦ストーリー

冷凍商品のアイテム数と在庫ストックの拡充。
新たな物流の仕組みづくりで、
組合員と地域担当のニーズに応える。

PROFILE

山口 淳史 YAMAGUCHI ATSUSHI

山口 淳史YAMAGUCHI ATSUSHI

情報・物流推進部
海事科学部 海洋ロジスティクス科学科卒業
2013年入所

入所7年目で新物流のプロジェクトに参画。

注文された商品を地域担当の手で組合員へ。店舗では地域の組合員が満足できる品揃えを——。コープこうべの根幹を成す宅配事業や店舗事業は、モノを運び、届ける物流システムが支えています。情報・物流推進部は、仕分け・梱包・配送などの実務を担う3PL事業者(※1)と連携しながら、組合員のニーズに対し、物流の最適なカタチを企画し、実現していく役割を担っています。コープこうべの事業展開とともに、キャパシティが限界に近づく中、新しい物流センターを立ち上げるプロジェクトに、入所7年目の山口が抜擢されました。

「宅配の物流センターは常温、要冷の2センターがあり、そのうち要冷センターは、中温(※2)・冷蔵・冷凍の3温度帯があります。近年の傾向と需要の増加から、今後は冷凍商品のニーズの高まりが予想されるため、既存の要冷センターから冷凍部門を移管する新宅配冷凍センターの検討がスタートしました。取り扱う商品数はこれまで約300だったものを倍の約600に。ニーズのある商品は在庫ストックもできるだけのキャパシティにすることを必須要件に、コープこうべと3PL事業者の間に立って、プロジェクトを進める役割を担いました」

冷凍商品のニーズの高まりを受けて、新宅配冷凍センターの立ち上げがスタート。

これまで、忙しい共働きの家庭や子育て世代からは手軽に調理できる冷凍商品を、高齢者からは少量タイプの冷凍商品を充実させて欲しいといった声が寄せられていました。そんな組合員のニーズに、商品数や在庫ストックの拡充で応えていくことも今回のプロジェクトの目標の一つでした。

「地域担当をしていた頃に『この商品好きやけど、もっと少ないのがあったら買いやすいのに…』といった声をよく聞いていました。今は直接組合員と話す機会のある仕事ではありませんが、このポジションからでも『組合員の役に立つことができる』ことは、私の大きなモチベーションになっています」

  • (※1)3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)事業者…荷主に対して物流改革を提案し、その物流業務を担う事業者のこと。コープこうべではアウトソーシングで3PL事業者に物流現場の実務を委託しています
  • (※2)中温…野菜や果物、パンなどを取り扱う温度帯のこと。

地域担当を経験後、今の部署では出向も。
深めた知見でプロジェクトをリード。

大学で学んだ物流(ロジスティクス)に興味を持ち、コープこうべの入所も、学んだロジスティクスの知見を地域のために活かしたいと思ったことが理由。地域担当を約2年経験後、山口は現在の部署へ異動しました。
「2年目の半ばに1日他部署研修があるのですが、その時に情報・物流推進部でお世話になりました。物流センターなどを見学して、改めて物流に携わりたいという思いが強くなりました。3年目に異動のチャンスをいただいたのは、本当にありがたかったです」

情報・物流推進部へ異動後は、約半年間、物流センターに常駐し、実際のモノの流れやトラブル時の対応など、現場レベルの実務を経験。店舗での商品発注端末の普及や業務用Wi-Fi環境の整備などにも携わり、物流と密接に関係する情報システムの知見も深まったといいます。また、今回のプロジェクトに携わる直前まで、山口は3PL事業者へ出向。3PL事業者の立場から物流の今を理解することで、コープこうべが抱える課題を客観的に見つめる機会に。

  • 地域担当を経験後、今の部署では出向も。深めた知見でプロジェクトをリード。
  • 地域担当を経験後、今の部署では出向も。深めた知見でプロジェクトをリード。
  • 地域担当を経験後、今の部署では出向も。深めた知見でプロジェクトをリード。

「私たちがこうしたいという要望を出した時、3PL事業者側では何が課題になるのか、どれくらいの手間とリスクを負うことになるのか、コープこうべにいるだけでは理解が及びません。また、近年は物流のアウトソーシングが進み、コープこうべに実務レベルのノウハウが蓄積されていないため、出向先で得た経験をコープこうべに還元することも出向の目的でした。出向先で1年間、3PL事業者としてさまざまな仕事を経験しましたが、コープこうべと3PL事業者との意識差・温度差を実感する機会は何度もありました」

出向からコープこうべに戻り参加した新宅配冷凍センタープロジェクトは、関係者が集まる定例ミーティングで議論しながら進みました。その中で、もっとも大切にしたことは、委託先の3PL事業者とのパートナーシップだったと山口は言います。

山口 淳史

「業務を委託しているからと言って、何でも一方的にコープこうべ側から要望を出したり、委託先に答えを求めたりしても、良好な関係を築くことはできません。出向を経験し3PL事業者の立場もわかるからこそ、『課題を一緒に考えて、解決しよう』というのが私のスタンスでした。議論の場でも、コープこうべはこう思っているけど、3PL事業者側はこう思っている…という意識差は本当に大きかったんです。みんなが同じ目線になるよう資料を作ったり、情報を提供したりすることで、商品数や品目、ストック量、それに伴う広さや機能面を話し合い、お互いに納得できる着地点を見出すことができました。2019年中には新宅配冷凍センターの仕様が決まり、2020年からはいよいよ着工。2021年秋〜2022年春の稼働を目指し、運用面の詳細を検討するとともに、冷凍部門移管後の既存要冷センターの有効活用について協議を進めます。そこでもコープこうべと3PL事業者の橋渡し役を担っていきたいと考えています」

組合員と、地域担当のために—。
次代を見据えた最新技術の導入も検討。

新宅配冷凍センターの立ち上げで、新たな物流の仕組みづくりに取り組む一方で、今は次代の物流を見据えた最新技術の導入も山口が担っています。
「たとえばセンター内の仕分け作業の省人化・省力化。ピッキングや梱包の自動化技術は年々開発が進んでいますが、どういった技術がコープこうべの物流に最適なのか検討することも私の仕事の一つです。現在は人の手でモノを動かしたり、ピッキングすることも多いですが、センターの人手不足、ドライバー不足はどこも同じ。次代を考えると、解決する必要のある課題です」

また、物流に携わる仕事に取り組むことで、実際に商品を組合員の元へ届ける地域担当の仕事の負担軽減にもつながって欲しいと山口は言います。
「地域担当時代のこと。大きな発泡スチロールの箱をお届けしたのですが、中に入っていたのはカボチャ一つだけ。ほぼ空気を運んだだけじゃないか!と思ったことも(笑)。これは商品のサイズと箱のサイズをコントロールすることで解決できることなんです。また、地域担当は組合員に商品の入った箱をお届けしても、箱の中に注文していただいた商品が正確に入っているのかは確認できません。商品の不足や間違いがあった時、組合員からコールセンターに連絡が入り、あらためて正しい商品をお届けしますが、その時、地域担当がもう一度組合員の元へ運んでいるんです。これもピッキングの正確性を上げていくことで、発生率を抑えられます」

組合員と、地域担当のために—。次代を見据えた最新技術の導入も検討。

地域担当時代のセンター長の言葉をよく覚えていると山口は言います。
「異動が決まった時、『仕事で苦労したな、大変だったなと思ったことは、他の地域担当も同じように思っていること。だから、自分の経験を忘れず、どんな部署でもその改善に取り組んで欲しい』とセンター長におっしゃっていただきました。その言葉を今も胸に刻み、組合員のニーズに応えることはもちろん、地域担当が少しでも効率よく仕事に取り組める環境を、物流という側面から私なりに実現していきたいと考えています」