CROSS TALK コープこうべの組合員や職員が、社会的課題の解決を実践している人に話を聞き、レポートしていく連載企画です。

CrossTalk 株式会社めい 扇沢友樹さん 日下部淑世さん×コープこうべ 組合員 立花莉絵子さん

左:扇沢 友樹さん 中央:日下部 淑世さん 右:立花 莉絵子さん

2017年5月10日

第4回 落ち込んだときは、これから出会う仲間を思い浮かべます

私が初めて扇沢さんに出会ったのは、新しいプロジェクトを立ち上げられたばかりのころ。悪戦苦闘されている姿を目の当たりにしました。あれから2年、実績を積み重ねてこられたお二人に、これまでのこと、これからのことを伺いました。

お二人が立ち上げた株式会社めいは4月に6周年を迎えられたそうですね。おめでとうございます。現在は、どのような事業をされていますか。

扇沢さん
京都市内に5軒、32室のシェアハウスがあり、シェアハウスを中心に不動産のコンセプト企画・運営を行っています。ここ「REDIY(リディ)」もその一つで、シェアハウス・工房・オフィスを併設した職住一体型の空間です。

日下部さん
私たちは『仕事と住居の密接した場所』を一貫したテーマにしていて、20歳代のお金がないときに、家賃4万円でやりたい仕事につくためのスキルと切磋琢磨し合える同世代の仲間ができる環境を提供したいと考えています。

扇沢さん
もう一つは、京都市と一緒に「京都物語商店」というウェブサイトを運営し、空き店舗のマッチングを行っています。これは、空き店舗のオーナーにインタビューを行い、どんな人に借りてもらいたいかなどを丁寧に聞くことから始めます。オーナーと借り手の思いがマッチすることで、より円滑に事業が進んだり、良い関係が長く続いたりしますね。

日下部さん
これまでは、自分たちで企画しているコミュニティーの職住に目を向けていましたが、商店と事業者のマッチングを通してシェアハウスに入居しない人とも関われるようになりました。さらに、シェアハウスを出てお店を出したい住人の夢の実現も応援できるようになりました。

どんな経緯でシェアハウスという事業をしようと思ったのですか。

日下部さん
株式会社めいは二人の経験と考えの融合で、二人とも経緯が違うのでそれぞれお話しますね。
私は、小学生の時に画家だった母親が心を病んで亡くなってしまいます。それから、“アーティストの幸せとはなんぞや?”と考え続け、大学では、多くのアーティストと出会いたいと京都へ進学しました。大学2年生のときの夢は、アーティストのトキワ荘(※1)を作ること。アーティストの定義を10年間考え続けるなか、卒業時には“自分のやりたいことを模索している人ではないか”と考えるようになりました。そして私は、最低限の家賃だけで、自分の夢を実現してもらえる住居を提供し、そこの大家さんになりたいと思いました。

※1トキワ荘:東京都豊島区に存在したアパート。主に1950年代、後に日本を代表する漫画家が若いころに共同生活を送っていた。

扇沢さん
僕は中学生の頃からサラリーマンとして働くという想像ができず、“起業しよう”と決め、そのために大学は法学部に進学します。そんな中、部屋の間取りを見て生活をイメージすることが時間を忘れて熱中できることだったので、不動産の仕事をしたいと思うようになりました。不動産の会社から内定をもらっていたのですが、「シェアハウス」という新しい概念に出会い、これなら若さを強みに生かせると感じ、就職はせずに起業することを決めました。

私たちは、2011年1月にTwitterで知り合い、4月に不動産企画屋として共同創業しました。お互いの思いを共有し、時間をかけて話し合いを重ねました。そして、「シェアハウスは若い人の通過点なのでは」という結論に至りました。長く住みたい人もいるかもしれませんが、終の住処にはならない。それならば、最初は私たちと同じお金があまりない若い人向けに、夢を実現することができる“職”に関するシェアハウスで、自分たちの年齢やライフステージに合わせた不動産企画をしていこうと決めました。

シェアハウスという新しいビジネスをしていく中で、大変なこともたくさんあるのではと思います。気持ちが落ち込んだときもあったのでは?

扇沢さん
事業経営には波がありますからね。例えば、REDIYでは、コツコツと手作業でリフォームしていたんですが、しんどい時期がありました。そんなときには、どんな人がここに入ってくれるかを想像したり、こんな人と出会いたいと考えたりしました。その人のための基地を作っているんだと思うとワクワクするんです。朝起きるときや寝る時に、ちょっと考えるだけで力になります。
僕たちは、知らない人同士が出会い、刺激し合うことで新しいものが生まれたり、道が開けたりする環境を作りたいと考えています。なので、自分たちがやっていることや、新しい企画のプレゼンに共感してもらうと、頑張ろうと思いますね。

日下部さん
私たちは今、幸せです。この幸せをいかに多くの人と共有するかを考えています。住人たちにとっても、株主にとってもより幸せになる時間とリソースの投資を心がけています。

最後に今後の目標を教えてください。

扇沢さん
今後の予定は二つあります。まずは、これからの5年間で「REDIY」のような職住一体型モデルを水平展開することです。「REDIY」は“場所づくり”をテーマにしていますが、他のモデルでは違う職業が学べる場にします。シェアハウス間は、行き来が自由なのですが、この職住一体型モデルが増えることで、シェアハウスを移動しながら、さまざまなスキルを身につけたり、仲間や機会に出会えるようにしたいです。
もう一つは、不動産の投資型クラウドファンディングを行うこと。実は、4月5日に子会社を立ち上げたところです。これが実現したら、オーナーシップのコミュニティーを作って、これまであった住人のコミュニティーとつないでいくこともできるのです。

日下部さん
例えばシェアハウスには住まないけれど、応援したい人たちのコミュニティーを作ることができます。特に高齢者には、新しいコミュニティーを探したいけど、地域から出られないという方もいらっしゃいます。そのような方に「ここに出会えて良かった!」と思ってもらえるようなコミュニティーを作りたいですね。

株式会社めい

京都市中京区にある不動産企画会社。住居や仕事につながる環境を提供し、価値観の合う仲間達とシェアすることで、幸せな暮らしを創造していくことをめざしている。
URL:http://mayshare.chu.jp

インタビューを終えて・・・

大学卒業の5日後に起業された扇沢さんと日下部さん。「シェアハウス」という新しいことに着目し、前例のない中でゼロからイチを作り出してこられました。それはきっと、楽しいことばかりではない、大変な道のりだったのではと想像します。私自身も、加西市地域おこし協力隊として、ゼロからイチを形作ることの大変さや、そのイチを増やして継続していくことの難しさを痛感しています。
「会社のストーリーも人生のストーリーも大事にしていて、自分は脚本家だと思っている」という日下部さんの言葉がとても印象的でした。お二人は日常から絶えず会話をし、その中のキーワードをつなぎ合わせて事業を考えているそう。そこから、知らない人同士が出会い、刺激し合うことで新しいものが生まれる場を作っていることを知りました。私も自分の人生のストーリーを考えてみたいと思います。

文:立花 莉絵子さん(コープこうべ 組合員・加西市地域おこし協力隊)

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