CROSS TALK コープこうべの組合員や職員が、社会的課題の解決を実践している人に話を聞き、レポートしていく連載企画です。

CrossTalk 特定非営利活動法人ノーベル 高 亜希さん×コープこうべ 奥野 麻衣子

左:高 亜希さん 右:奥野 麻衣子

2017年2月10日

第3回 それが「病児保育」との出会いなんですね。

関西初の訪問型病児保育を展開しているNPO法人ノーベル。女性が働き続けられる社会をめざし、同団体を立ち上げた高亜希さんにお話を伺いました。

「病児保育」をやろうと思ったきっかけは何ですか

もともと病児保育の存在を知っていたわけではありません。私は民間企業で働いた後、半年間、韓国に留学しました。帰国すると、同僚や友人の多くが、出産や子育てを理由に退職していました。子どもが熱を出すと保育園に預けられない、会社を休むことが続くと職場で周りの目が気になる、近くに預かってくれる親族がいない。だから、「子育てと仕事の両立」が難しい。この事実が私にとって衝撃でした。子どもがいる・いないに関わらず、女性が働き続けられない社会はおかしい、何とかしたいと思いました。保育園は増えているけれど、子どもが病気になった時に預かってくれるところは少ないという事実を知り、いろいろ調べているうちに「病児保育」というサービスがあると知りました。

それが「病児保育」との出会いなんですね

そうですね。そこからは勢いでノーベル立ち上げまで進んだ感じです。東京にNPO法人フローレンスという訪問型病児保育を行っている団体があって、話を聞きに行ったんです。でも、「働いた方が早いな」と思い、1年間フローレンスで働き、病児保育のノウハウを学びました。

立ち上げて7年、ノーベルはどのように変化してきましたか

立ち上げ初期はどうすればノーベルを知ってもらえるか、広報に力を入れました。はじめは会員数もなかなか増えなくて、通帳の残高が減っていく恐怖との戦いでした。3、4年目はどうすれば信頼を得られるか、保育の質の向上、業務フローの改善を行いました。
ここ2年は、会員専用サイト、保育スタッフ専用サイトも作り、システム開発にも力を入れています。現在は会員が1000世帯以上になり、職員も保育スタッフ、本部スタッフを含め50人を超えました。これまでは、外へのアプローチに重きを置いてきました。けれど、規模が大きくなるにつれて、組織内部のことも整えていく必要性を感じました。代表である私に全てを頼っていては、組織として弱いと考えています。強い組織にしていくためには、私が経営者として成長し、監督になることが、大切だと思っています。

訪問型病児保育の様子 写真提供:NPO法人ノーベル

昨年、「Collective for children」を立ち上げられました。
どのような組織ですか?

最近は、先進国である日本に住む子どもの6人に1人が貧困と言われています。現状は、各NPOや行政の子どもたちへの支援の連携がなく、それぞれ点での支援になっていることが課題としてあります。NPOや行政が連携し、子どもが成長していく過程で切れ目のない継続的な支援を実現するために、Collective for childrenを立ち上げました。
私は、保育の現場で親御さんからヒアリングをしていて、病児保育だけでは社会は変わらない、川下で困っている人を助けているだけだと感じていました。世の中には、子どもに関わるさまざまな問題があります。“見えている”のに私たちだけでは“解決できない”問題があることに対して、ずっともどかしさがありました。他の団体も同じ問題意識を抱えていて、じゃあ連携して繋がろう!となったんです。昨年、ようやく形になりました。

Collective for children…「全ての子どもたちが生まれてから社会に出るまで当たり前に地域で暮らせる社会」を実現するために2016年に発足。高さんとNPO法人み・らいずの河内崇典さんが共同代表。

10年後の高さんはどうしていますか

10年後は海外にいるんじゃないかな。人生を3分の1ずつ都市部・田舎・海外で過ごしていきたいと構想しています。これからの世界は、ライフスタイルや仕事が、今よりさらにフラットになっていき、人が自由に往来できる世の中が来るんじゃないかと思います。私は都市部のことも田舎のことも世界のこともわかっていきたいです。社会の着地点は世界の歴史にヒントが隠されていると考えていて、それを知りたい。だから日本にいることにこだわりはないです。でも、どこにいてもずっと「子ども」に関わっていきたいですね。

特定非営利法人ノーベルのプロフィール

「子どもを産んでも当たり前に働き続けられる社会」をめざし、2010年2月、関西初となる共済型・訪問型病児保育のサービスをスタート。
自宅を訪問して、子どもが安心できる環境で保育を行い、子どもの急な病気で悩む会員をサポートしている。また、行政や他団体と連携するなど活動の幅を広げている。
URL:http://nponobel.jp/

インタビューを終えて・・・

今、私はコープこうべの職員として、ノーベルで7ヶ月間の研修中です。
高さんと一緒に働いているので、改めてインタビューするのは緊張しました。今まで知らなかった世界を知り、新しいことを学び、吸収する刺激的な毎日を過ごしています。
高さんの話の中で「問題を解決するのに当事者である必要はない。“やりたいからやる”でいいじゃない。」という言葉が心に響きました。
私がノーベルで研修をすることになったのは、育児休暇から復帰した先輩との出会いがきっかけです。子育てと仕事の両立が大変だということを目の当たりにしました。今の環境で自分が子育てをする時、本当にやっていけるのか不安になりました。
そんなときに、ノーベルの研修を知り、子育てと仕事の両立ができる環境を実現するための課題解決の糸口が見つかるのではないかと、応募しました。しかし、それと同時に、自分に子育て経験が無いことがノーベルの仕事で足手まといになるのではないか、関わるお母さんたちの気持ちを本当に理解して仕事をすることができるのか、そんな不安がありました。
それが、高さんの言葉で「当事者」でなくても目の前にある課題を解決したい、困っている人を助けたい、その気持ちが一番大切なことだと、自分の行動に自信が持てました。

文:奥野 麻衣子(2013年入所)

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